©Vandeer Toorren
2007年にアンドリアン・ペルトゥはメルボルン大学で博士課程を修了した。ジャン・ボガン賞、「ジョン・ケージ百周年記念」ウルフ美術館音楽賞(アメリカ)、フレンズ・アンド・エナミー現代音楽作曲賞(アメリカ)、ルイヴィル・オーケストラ賞(アメリカ)、APRAオーケストラ作曲賞を受賞。
現在メルンボルン作曲家協議会副会長、アジア作曲家連盟オーストラリア代表、バルパライソ・プエンテ・フェスティバル(チリ)の国際コーディネーターである。フリーランスの作曲家であるとともに、作曲講師、教師、スーパーバイザー、また多くの教育機関にて学士号/修士号/博士号の審査官として活躍している。
2019年には愛知県立大学の客員教授をつとめた。作品はメルボルン交響楽団 タスマニア交響楽団、ルイヴィル・オーケストラ、エルサレム交響楽団、タタールスタン・ウズベキスタン国立交響楽団、オークランド室内オーケストラ、オルケストラ・ペトロブラス・シンフォニカ、メキシコ国立交響楽団、チリ国立交響楽団、オルケストラ、プエルトリコ交響楽団、ヴェトナム国立交響楽団、バシアーナス・ブラジレイラス・オーケストラ、ロゴス財団ロポットオーケストラ、香港大学ガムランオーケストラ、オア弦楽オーケストラ、トゥルネー礼拝堂フェスティバル楽団を含む50ヵ国以上の演奏団体により演奏されている。
タイトルはブライアン・クレッグの「ホットな科学」本、「重力波:アインシュタインの時空波はどのように宇宙の秘密を顕したか?(2018)」から拝借した。作品は、重力波(あるいは時空構造における波)の宇宙現象への直接的関係における不確定性の音楽的含意の探究とともに、エリオット・カーターの歴史的な著作「ハーモニー・ブックス」で紹介された12音階におけるポスト調性和声の可能性の追求に寄与する。
1993年にラッセル・ハルスとジョセフ・テイラーは新型パルサーの発見によりノーベル物理学賞を受賞した。その発見こそは重力の研究に新しい可能性をひらいた。クレッグの説明によると「明確に、それは変数回線速度を持つパルサーの観察から、重力波の存在の演繹を可能にした。」さらに「PSR1913+16は周期的”チック”レイトのないパルサーである。しかし速度はある間隔で増減していた。」この作品はリズムの緊張と弛緩の、アルゴリズム的に派生する確率論的連続イベントでの協働による重力波概念の芸術的描写である。それは物理学においては正と負の速度と呼ばれるものだろう。