ロバート・カスティールズ(シンガポール)

シンガポールを拠点とする多才なアーティスト、作曲家、研究者、指揮者、ピアニスト、教育者。文化、ジャンル、分野を超えて、140もの音楽作品を書き続けている。彼の作曲活動は、無調音楽に始まり、その後、東南アジアへの移住と時を同じくして微分音(ガムラン)に移った。現在は電子音響と旋法が中心。彼の作品は、オーストラリア、ベルギー、中国、イギリス、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、オランダ、フィリピン、シンガポールで初演または演奏されている。これまでに50以上のプロのオーケストラを指揮し、初期の古典から現代音楽、交響曲から声楽や舞踊のレパートリーまで、600曲のレパートリーを手がける。スポレート音楽祭、アルス・ムジカ、ブリスベン・ビエンナーレ、フォーカス、ウィーン・モダン、ドナウエッシンゲン、ベルリン・ビエンナーレなどの音楽祭で交響曲、バレエ、オペラを初演。シンガポールでは、ブーレーズ、リゲティ、武満、シュトックハウゼン、ヴァレーズなどの傑作を初演。

アーチ

20244月、交響曲第6番の初演に続いてArch op.140を作曲した。音楽は過去から現在、そして未来へと時間的に展開していく。同様に、丸天井は左から右へと展開していく。円蓋の礎石は作曲の中間点であり、その後に先行する作曲要素が全く逆の順序で再び現れる。音のアーチの中では、モチーフが逆行しながら再び現れる。アーチの構造は、1つの大きな円蓋の中にある18の小さな円蓋で構成されている。あるものは凹状、他は凸状、また他は水平、つまり、リズムだけが逆行する。作曲者が3人の奏者に音楽を分配する方法において、トリオの演奏者もアーチのようなユニットを構成している。オカモト メグミの短い詩がアーチの礎となっている。簡潔さ、繊細さ、比喩が彼女の作風を特徴づけている。“In Praise of Sake” や、2014年に横浜で開催された第32ACL音楽祭で初演されたオーケストラのための「風に乗る」に見られるように、日本文化に対する深い愛情を持ち続けている。