高橋 裕(日本

1953年京都に生まれる。東京藝術大学音楽学部作曲科を経て同大学院作曲専攻修了。世界仏教音楽祭コンクール、国際カール・マリア・フォン・ウェーバー室内楽コンクールにおいて第1位受賞。第1回芥川作曲賞受賞。学生時代より能の謡と舞の稽古を続け、日本の伝統音楽と現代音楽との融合を図るようになる。2014年には自らの指揮により和楽とオーケストラとのコラボレーションによるコンサートを開催した。

邦楽アンサンブルのための「神名火」

神名火(かむなび)とは、古神道において、神霊(しんれい)が宿る御霊代(みたましろ)、神代(かみしろ)として山や森等の自然の神域を神体とすることをいう。太古の人々にとって自然や季節の変動は、単なる敬慕や畏敬以上のものになっていた。大自然とともに歩む惟神(かむながら)の心は、やがて音霊、言霊とともに浄闇(じょうあん)の中に神を招来することになる。やがて神祀りの轟音は天地に渡り響きだす。